海外から友人が遊びに来る春、「どこへ連れて行こう?」と迷ったら、答えはシンプルです。昼は桜の下でのんびり、日が暮れたらそのまま東京の夜桜へ。私たちは2016年から東京に住み、海外ゲストを案内していますが、春ほど街じゅうが一斉に外へ出る季節はありません。公園にはブルーシートが広がり、夜の川沿いにはぼんぼりが灯ります。この記事では、桜の開花時期の目安、海外の友人に伝えたい花見のマナー、昼と夜それぞれの花見のおすすめスポット、春の味覚、そしてゴールデンウィークの注意点をまとめました。
東京の桜はいつ咲く?まずは開花予想をチェック
東京の桜は、例年3月下旬に咲き始め、3月下旬から4月上旬にかけて満開を迎えます。満開が続くのはおよそ1週間。暖かい3月なら開花は早まり、寒の戻りがあれば遅れ、一晩の雨風で一気に散ってしまうこともあります。
だからこそ、開花予想をこまめに確認するのがいちばん大事です。気象庁は靖国神社の標本木で開花を発表し、日本気象株式会社(JMC)などの民間気象会社は年明けから開花予想を出して、春が近づくにつれて更新していきます。見るべきは「開花日」と「満開日」の2つ。公園に行く日は、満開日からの1週間に合わせましょう。
海外の友人が数か月前に航空券を取るなら、3月の最終週から4月の第1週にかかる日程をすすめると、見頃に当たる確率が上がります。満開を過ぎても、風に舞う「花吹雪」や、水面に花びらが集まる「花筏」は海外ゲストにとても喜ばれる景色です。

花見のきほん:海外の友人に伝えたいマナー
花見は「花を見る」と書きますが、実際には友人や家族、同僚と桜の下で楽しむピクニックです。海外の友人と行くなら、次のポイントを事前に伝えておくと安心です。
- レジャーシートを用意する。定番は青いビニールシート。大きな公園の周りのコンビニや100円ショップで手に入ります。シートに上がるときは靴を脱ぐ、というのは海外ゲストにとって新鮮なルールです。
- 場所取りは早めに、譲り合って。週末の人気公園では朝から場所取りが始まります。会社の新人が担当する、という話をすると海外の友人は驚きます。他人のシートを動かしたり、場所をめぐって揉めたりするのは厳禁。空いていなければ、別の木を探せばいいだけです。
- ゴミは持ち帰る。ゴミ箱は少なく、すぐにあふれます。ゴミ袋を持参し、缶・びんとそれ以外は分けておきましょう。
- 桜の木を大切に。花びらを散らそうと枝を揺らしたり、木に登ったり、枝を折ったりするのはNGです。
- 公園のルールを確認する。飲酒やシートの使用、夜間の宴会を制限している公園もあり、ルールは年によって変わります。入口の掲示を必ずチェックしましょう。
食べ物は、デパ地下や道中のコンビニで花見弁当と飲み物を買っていけば十分。シートの上の花見は、東京で過ごすいちばん安上がりな夜のひとつです。
東京の花見おすすめスポット:井の頭公園・目黒川・上野・千鳥ヶ淵
東京には数え切れないほどの桜の名所がありますが、私たちが自分の友人にすすめるのはこの5か所。それぞれに違った理由があります。
井の頭恩賜公園(吉祥寺)
私たちのホームグラウンドであり、いちばんのお気に入りです。吉祥寺駅公園口から歩いて5分ほど(新宿からJR中央線快速で約15分、渋谷から京王井の頭線で17〜20分)、池をぐるりと囲む桜の枝が水面すれすれまで垂れ下がります。手こぎボートやスワンボートに乗れば池の上から桜を眺められますし、「カップルで乗ると別れる」という言い伝えは、海外の友人に話すと盛り上がる小ネタです。地元の人が多く雰囲気はゆったり。三鷹側の端にはジブリ美術館(チケットは事前予約のみ)、駅のほうへ数分戻ればハモニカ横丁の酒場があります。街の楽しみ方は吉祥寺・ハモニカ横丁ガイドでも紹介しています。

目黒川
中目黒駅のすぐそば、細い川の両岸から桜がアーチのように覆いかぶさります。ここは座って宴会をする場所ではなく、歩いて楽しむ場所。シートは広げられませんが、川沿いの屋台でピンクのスパークリングワインやおつまみが買えます。週末は人の流れがほとんど止まるほど混むので、できれば平日に。
上野恩賜公園
にぎやかな花見の王道。桜並木の広い園路に提灯が並び、屋台が出て、朝からシートの上はどこも大盛り上がりです。園内の美術館・博物館や、駅横のアメ横散策と組み合わせやすいのも魅力です。
新宿御苑
落ち着いた花見を楽しみたいなら新宿御苑へ。入園料(500円程度)が必要で、酒類の持ち込みは禁止、夕方には閉園するので、昼の予定に組み込みましょう。品種が多く開花時期がずれるので、ソメイヨシノの見頃を少し外れても楽しめるのが強み。混雑期には事前予約制になった年もあるので、公式サイトを確認してから出かけてください。
千鳥ヶ淵
皇居のお濠沿い、石垣に覆いかぶさるように咲く桜は、東京でも屈指の撮影スポットです。お濠を見下ろす遊歩道を歩くもよし、ボートに並ぶもよし。満開時はボート待ちの列が長いので早めに。最寄りは九段下駅です。
東京の夜桜:花見のおすすめは日が暮れてから
「桜は夜のほうが好き」という東京の人は少なくありません。淡い花びらが灯りに浮かび上がり、仕事帰りの人が合流して、公園は終電までにぎわいます。暗くなってからのおすすめは次の4か所です。
- 目黒川は夜桜の代表格。川沿いにぼんぼりが続く光景は圧巻ですが、とても混むので平日の夜に。ぼんぼりは夜の早い時間に消えることが多いので、遅くなりすぎないように。
- 千鳥ヶ淵は桜の時期にライトアップされることが多く、お濠に映る桜は九段下から歩いて見に行く価値があります。
- 上野公園はメインの桜並木に提灯が灯ります。宴会は20時ごろまでとされることが多いので、早い時間向きです。
- 井の頭公園は演出控えめ。池のまわりの街灯がやわらかく桜を照らし、集まるのは地元の人ばかりです。
夜桜には羽織るものを一枚。春の夜は日が沈むと10度前後まで冷え込みます。終電は0時〜0時半ごろなのもお忘れなく。

夕暮れの桜と、夜の横丁の両方を楽しみたい方へ。サクラ・シップス:桜のはしご酒ツアーは3月20日〜4月10日の期間限定。17時に集合し、井の頭公園での花見ドリンクからスタートします。日程が限られているので、お早めにご予約ください。
春の味覚と桜ドリンク
春の味は、デパ地下から近所のコンビニまで、あらゆるところに並びます。海外の友人と一緒に試したいのはこちら。
- 桜餅:ピンクの餅であんこを包み、塩漬けの桜の葉で巻いた春の和菓子。「葉っぱも食べられるの?」と必ず聞かれます。
- 花見団子:ピンク・白・緑の三色団子。
- 桜ドリンク:カフェチェーンの桜ラテや、ビールメーカーの桜デザインの限定缶など。桜の日本酒やスパークリングワインも探してみてください。
- 桜湯:塩漬けの桜の花にお湯を注いだ、ほんのり塩気のある上品なお茶です。
- 居酒屋の旬の料理:たけのこ、菜の花、ホタルイカ、桜えび。「今日の旬は何ですか?」と聞いて、それを頼むのがいちばんです。

桜だけじゃない、春の東京の楽しみ方
桜が散ると、4月いっぱいは根津神社のつつじが咲き、4月下旬からは亀戸天神の藤が見頃を迎えることが多いです。日中は15〜20度前後と過ごしやすく、谷中や吉祥寺、下北沢の街歩きには最適の季節。東京が初めての友人を案内するなら、初めての東京でやるべきことも参考にしてください。
ひとつ注意したいのがゴールデンウィークです。4月29日から5月の第1週にかけて、昭和の日・憲法記念日・みどりの日・こどもの日の4つの祝日が1週間に集中し、日本中が一斉に旅行に出かけます。新幹線の席は埋まり、観光地は大混雑、ホテル代も上がります。海外の友人の日程に融通がきくなら、桜の時期か5月中旬をすすめましょう。どうしても重なる場合は、列車とホテルを早めに押さえ、朝早くから動くのがコツです。
サクラ・シップス:桜のはしご酒ツアー
サクラ・シップスは、私たちが大好きな春の東京の2つ、花見と吉祥寺の酒場をひとつにしたツアーです。開催は3月20日〜4月10日の期間限定、17時スタートで所要約5時間(22時まで)、定員10名、料金は1名140ドルです。
吉祥寺駅に集合し、夕暮れの井の頭公園へ。桜の木の下で無料の一杯を飲みながら、花の下で写真を撮ります。暗くなったら、駅前に広がる戦後からの路地、ハモニカ横丁ではしご酒。日本のカクテルを含む90分飲み放題とフードコースのあと、さらに酒場をめぐり、地元の人や他の旅行者と語らい、グラスを合わせます。それ以外に追加注文するドリンクは1杯500〜700円程度で、その場でのお支払いです。
自然は予約カレンダー通りには動きません。満開の夜もあれば、咲き始めの夜も、花びらが雪のように舞う夜もあります。

桜の時期以外に来日する友人には、同じハモニカ横丁を一年中めぐる吉祥寺・隠れ家バーはしご酒ツアー(1名120ドル、火〜日の19時)もおすすめです。
夕暮れの花見と、横丁での一杯をセットで。サクラ・シップス:桜のはしご酒ツアーは1名140ドル。参加は20歳以上、予約時に全額をお支払いいただき、お客様都合のキャンセル・返金はできません(主催者側の中止の場合は全額返金)。日程をよく確認してからご予約ください。乾杯!


